SPnet 選任業務編



・法定備付書類-警備員名簿・欠格事由確認措置書面の書き方





ここでば、法定備付書類のうちの警備員名簿と欠格事由確認措置書面について声明します。
参考書式もダウンロードできます。使いやすいように改変してください。
警備員名簿で注意する点は「写真が3年以内のものであること」「教育実施状況が記載されていること」。
現場が変わる交通誘導ではその都度「従事させた警備業務」を記入しておかなければなりません。
欠格事由確認措置書面に添付しなければならないのは、法律上は誓約書だけ。
通常、必要とされている診断書や身分証明書などは添付しなくても警備業法違反とはなりません。
その点を知っていて診断書や身分証明書などを添付しましょう。
誓約書や欠格事由確認措置書面の日付にも注意


警備員名簿の注意点
三年以内の写真
従事させた警備業務
教育実施状況
欠格事由確認措置書面の注意点
なにを書くか
どんな書類を添付するか
誓約書だけでよい。診断書や身分証明書などはなくてもよい
誓約書の日付と退職者の扱い


0.法律の規定-警備業法45条・警備業法施行規則66条


「営業所に備えつけなければならない書類」は次のものです。

・警備員名簿(隊員の誓約書・診断書・本籍地記載の住民票・身分証明書・履歴書・運転免許証コピー・資格者証コピー添付)
・欠格事由確認措置書面。
・教育計画書・教育実施確認書
・指導計画書・指導実施確認書
・契約先一覧
・苦情処理簿
・護身用具一覧

警備業法45条は「警備業者が備えつけなければならない書類がある」ことを規定し、
それを受けて警備業法施行規則66条に「書類の内容」が細かく規定されています。
上に挙げた書類がそれです。
※「警備業者は、内閣府令で定めるところにより、営業所ごとに、警備員の名簿その他の内閣府令で定める書類を備えて、必要な事項を記載しなければならない。」
  (警備業法45条)
※「法第45条の内閣布令で定める書類は次の通りとする…」(警備業法施行規則66条)

これらについて説明していきます。
今回は警備員名簿と欠格事由確認措置書面についてです。

    


1.警備員名簿   2019年改正布令対応警備員名簿(欠格事由確認措置書面付き・エクセル)


a.施行規則66条の要求するもの


「次の事項を記載し、…の写真を貼り付けた警備員名簿」(警備業法施行規則66条1項1号)  
ここで、施行規則が要求する「警備員名簿に記載しなければならない」のは、次のa~fの項目

a.警備員の写真(三年以内に撮影、無帽・正面・上三分身・無背景・縦3㎝×横2.4㎝)を貼り付ける。
b.氏名・本籍・住所・生年月日・採用年月日・退職年月日の記載。
c.その者に対して行った警備員教育の実施年月日・内容・時間数・実施者氏名の記載。
   ※警備員名簿二ページ目の「教育実施状況」の部分
d.従事させる警備業務の内容の記載。
   ※警察庁の解釈・運用基準31-1-(1)では、
    「○○市内の道路工事現場における車両の誘導」、「○○市○○町○○の××ビルにおける常駐警備」のように、
    その警備業務の具体的内容の外、その警備業務が行われる場所又は地域についても記載するように指導すること
e.資格者については、資格等級・資格警備業務の種別・交付した公安委員会名・交付年月日・資格者証の番号の記載。
f.退職した警備員の警備員名簿は退職日から一年間備え付け。

    
b.注意すること


イ.3年以内に撮影した写真

・注意しなければならないのはaの「写真」。警備員(隊員)の写真は3年ごとに新しくしなければなりません。

撮影年月日が書いてなければ3年以内がどうか分かりませんが、これをしっかり押さえておくと立入のときに加点されます。
担当警察官『「これって、いつの写真?若すぎない?」という写真が貼られていますよ!』。目をつけられましたネ。

   
ロ.「従事させた警備業務」はその都度記入

・dの「従事させた警備業務」は一カ月毎に書き加えていきましょう。これを習慣づけないと立ち入り前に大忙しとなります。

とくに、現場がいろいろと変わる交通誘導では「現場が変わるたびに」記入するようにしなければなりません。
あやふやな記憶で間違っていたり、記載を飛ばしたりすると「虚偽記載」となって警備業法違反となります。

    
ハ.警備員名簿には「教育実施状況」が書かれていなければならない


・cの「教育実施状況」が警備員名簿の記載事項であることも要注意。

「教育実施状況」を警備員名簿に記載せず、教育実施確認書(教育実施簿)で済ませている警備業者があります。
教育計画書と教育実施簿はその年度が終わってから2年間保管しておかなければなりません(警備業法施行規則66条2項)が、2年たったら廃棄してもよい。
そして、なぜか2年前の教育実施確認書が「ちゃんと廃棄していて」残っていない。
古い隊員になると「新任教育を1号でやったのか2号でやったのか」すらも分からない。
これではその隊員を教育する者には不便です。

※備付書面で保存期間が定められているものは(警備業法施行規則66条2項)
・退職した警備員の警備員名簿-退職の日から1年
・教育計画書・教育実施簿-その年度が終了した日から2年
・指導計画書-実際に指導した日から2年

警備員名簿二ページ目の「教育実施状況」に書き加えていけば、その隊員が辞めない限り記録が残ります。
その隊員に対して行った教育が採用時から現在まで記載されているのでとても役に立ちます。
その隊員に必要な現任教育につき、教育実施確認書をあちらこちら調べなくても済みます。
立入検査のときも簡単に教育状況をチェックできるでしょう。

もっとも、教育をしっかりとしていない警備業者にとっては困るでしょうが…。
「桜を見る会」と同じです。

しかし、この「教育実施状況」は「警備員名簿に記載すべき事柄」ですから、この記載がない警備員名簿は不完全なものとなります。
「教育実施確認書」があるうちは「こちらで代用しています」とごまかせるでしょうが、教育実施から2年を過ぎて「教育実施確認書を廃棄したら」ごまかしがききません。
当然、「教育実施状況の記載」のない警備員名簿は不完全なものとなり警備業法違反となります。

警備業法違反といっても、「警備員名簿を造り直しておきなさい」という指示処分くらいでしょうが、
「あの警備業者はしっかりと書類作成をしていない」と目をつけられてしまいます。
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選任のための法律知識・








2.欠格事由確認措置書面  欠格事由確認措置書面(単独・エクセル)誓約書(ワード)診断書(pdf) ※ワードの場合は開いたあと「表示 → 文書の編集」

    
a何を書くか-.施行規則66条が要求するもの


「警備員ごとに、
  法第14条第1項 に規定する者に該当しないことを誓約する書面の提出を受けた旨、
  その他同項 に規定する者に該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書類
  (当該提出を受けた書面の添付があるものに限る。)」(警備業法施行規則66条1項2号)

「誓約書と欠格事由確認措置書面」のことらしいですね。もう少し読み込んでみましょう。

(前半部分)
・警備業法14条第1項は「18歳未満の者、警備員の欠格事由(3条1号~7号)のある者は警備員となってはならない」と規定。
  だから、「法第14条第1項 に規定する者に該当しないことを誓約する書面」とは、「本人の書いた誓約書」のこと。
・そして、「法第14条第1項 に規定する者に該当しないことを誓約する書面の提出を受けた旨…を記載した書類」とは「その誓約書を受け取ったことを書いた書面」

(後半部分)
・次に、「その他同項 に規定する者に該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書類」とは、
  「誓約書以外でその者に警備員の欠格事由がないことをどんな手段で確認したか」を記載した書面のこと。


結局、ここで規定されているのは、
「誓約書を受け取ったこと・誓約書以外でその者に警備員の欠格事由がないことをどんな手段で確認したか」が書かれた書面が必要ということ。
いわゆる、欠格事由確認措置書面のことです。

    
b.「どんな手段で確認したか」についてはその証拠となるものが必要


欠格事由確認措置書面には「誓約書を受け取った旨」を記載しなければならないので、「誓約書を受け取ること・その誓約書を添付すること」は当然です。

しかし「誓約書以外でその者に欠格事由がないことを確認した手段」についてはどうでしょう。

この点につき、施行規則66条1項2号は「(当該提出を受けた書面の添付があるものに限る。)」というカッコ書きをつけています。
「…(欠格事由に)該当しないことを確認するために講じた措置を記載した書面…(ただし、その記載は)当該提出を受けた書面の添付があるものに限る」ということです。

つまり、欠格事由確認措置書面に「誓約書以外にその者が欠格事由に該らないことをこういう手段で確認しました」と書くには、
「その確認手段を示す書類を添付しなければならい」ということになります。
たとえば、欠格事由確認措置書面に「18歳以上であること」を「運転免許証で確認した」と書くためには「運転免許証のコピー」を添付しなければなりません。
運転免許証のコピーを添付しないと「18歳以上であることを運転免許証で確認した」とは書けないのです。

要するに、欠格事由確認措置書面とは「誓約書を受け取ったことと、誓約書以外でその者に欠格事由がないことをどんな方法で確認したか」を書いた書類で、
そのことを証明する書類(誓約書,運転免許証のコピー,診断書,住民票,身分証明書など)を添付しなければならない。ということです。
    

c.誓約書だけあればよい。診断書や本籍記載の住民票・身分証明書などはなくてもよい


ここでおもしろいのは、「欠格事由確認措置書面に添付する書類は誓約書だけでよい」ことです。

・運転免許証のコピーが必要なのは、欠格事由確認措置書面に「18歳以上の者であることを運転免許証で確認しました」と書いた場合。
・診断書が必要なのは、欠格事由確認措置書面に「アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者でないことを診断書で確認しました」と書いた場合
・身分証明書が必要なのは、欠格事由確認措置書面に「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者でないことを身分証明書で確認しました」と書いた場合。

これらのことを欠格事由確認措置書面に書かなければ、運転免許証のコピーや診断書や身分証明書は必要ないのです。
添付しなければならないのは「欠格事由確認措置書面に書かなければならない誓約書を受け取ったこと」の証拠となる誓約書だけなのです。

新しい隊員を採用して「本籍記載の住民票、身分証明書、診断書」を提出させますが、これは法律が要求しているものではないのです。

しかし、誓約書は公的な文書ではありません。
法的には「誓約書だけあればよし」ですが、やはり「一般的に必要とされるこれらの書類」も添付しておくべきでしょう。

この点につき担当警察官は、
『法的には誓約書だけでOKだけど、その者に欠格事由があった場合に、「警備業者としてはこれだけの確認をしましたよ」と言えるので、
  身分証明書や診断書での確認をしておいたほうがよいでしょう。』
逆に言えば「誓約書だけでOKとしていると、その者が欠格事由者だったときに警備業者はしっかりと確認していなかったと判断するよ」ということです。

    
d.誓約書の日付と退職者の誓約書


誓約書の日付は「採用した日かそれ以前」、欠格事由確認措置書面の確認日付も「採用した日かそれ以前」にしなければなりません。
そうでないと、「欠格事由にあたるかどうか」をチェックしないで採用したことになります。

警備業法14条2項は「警備業者は前項に規定する者(欠格事由のある者)を警備業務に従事させてはならない」としています。
「欠格事由にあたるかどうか」をチェックしないで採用しても、警備業務に従事させてなければ14条2項に反しません。
しかし、日付だけ注意すれば済むのだから誓約書は入社手続の日に提出させましょう。


また.退職した者の欠格事由確認措置書面・添付書類について備え付け期間は規定されていません。
退職した者の警備員名簿は退職した日から一年間備えつけて置かなければならないから、
欠格事由確認措置書面も一緒に保管しておいた方がよいでしょう。

※「法第45条に規定する警備員の名簿は、当該警備員が退職した後においても、その退職の日から一年間、……備えておかなければならない。」
  (警備業法施行規則66条2項)


つづく。




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