RMX-SJ13 整備資料



 2020.04.13.W.E.Rステアリングダンパーの構造とオーバーホール





前回取り付けたW.E.Rステアリングタンンパーのジャンク品を入手したので、分解してみました。
あれこれ考えて、やっと「オイルの流れとダンパー調整機構」を理解することができました。
アジャストは「一杯締め込んだ状態が最強で、そこから1回転+40度戻した所が最弱」。それ以上戻しても同じです。
これは「調節の仕組み」を理解していないと分からないことです。
また、オーバーホールにはOリングを交換しなければならないので、適合するOリングを汎用品から捜してみました。
シリンダーのOリングだけは適合するものがありませんが、汎用Oリングを少し削ればなんとか代用できます。
オイルも入れ換えて、使えるようにしました。



W.E.Rステアリングダンパーの部品構成
W.E.Rステアリングダンパーの仕組みと調節機構
W.E.RステアリングダンパーのOリング
シリンダーOリング
ピストンシャフトOリング
アジャストスクリューOリング
エア抜き穴ネジOリング
プレート取り付けネジOリング
オイル交換



1.W.E.Rステアリングダンパーの構造


a.ジャンク品入手


  YahooオークションでW.E.Rステアリングダンパーのジャンク品を入手しました。
  PJを入手したときに付いていたものだとか。1000円で落札。

  アームの動きがスムーズではなく引っかかります。
  以前から「その構造を知りたい」と思っていましたので、
  分解してオーバーホールすることにしました。


  ピボットブラケットの左側に溶接部の出っ張りに合わせてくぼみがつけてありました。   右側にもくぼみ。
  以前に取り付けた新品のぷラケットにはなかったような気がします。
  このブラケットだけこでも1000円の価値があります。

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b.W.E.Rステアリングダンパーの部品構成


  a : シリンダー,b : ピストン,c : オイルタンク,d : アジャストスクリュー,e : エア抜き穴ネジ,f : 取り付けプレート,g : 取り付けネジ
  h : アーム,i : アーム取り付けボルト,J : ピボットブラケット,K : コネクティングロッド,l : コネクティングロッド取り付けボルト



c.シリンダー,ピストン,オイルタンクオイルタンク


  a(シリンダー)にはオイル通路と通路孔があります。
  b(ピストン)は左右に動いてオイルをオイル通路孔に押し込みます。
  aはc(オイルタンク)に入ります。

  a(シリンダー)の厚さ=22.2㎜。二段になっていて各々の厚さ=11.1㎜。
  b(ピストン)の外径=11.1㎜Φ。(樹脂枠の中の鉄部の外径=8㎜Φ)
  c(オイルタンク)の深さ=22.0㎜(外側の高さ=26.7㎜)

  aの底はcの底とピッタリくっつき、深さ11.1㎜のオイル室を作る。
  このオイル室の中を外径11.1㎜Φのピストンが左右に動く。

  なお、シリンダー外径=57.8㎜Φ、オイルタンク内径=58㎜弱~58㎜


  シリンダーにピストンがセットされてオイルタンクに入ります。
  この深さ11.1㎜の部分がオイル室になります。
  オイルタンクの底にはピストンがはまる穴があります。(穴深さ=7.5㎜。)
  この穴深さ=7.5㎜、ピストンシャフトの下側の出っ張りは6.4㎜。
  穴深さに少し余裕を持たせて、ピストンが浮き上がらないようにしています。


  シリンダーはオイルタンクにはまっているだけです。
  シリンダー外径=57.8㎜Φ、オイルタンク内径=58㎜弱~58㎜Φなので、
  シリンダーがオイルタンクにくっついている部分はOリングだけです。
  シリンダーを外すときは、
  ピストンシャフトにアームを取り付けて少しこじって引っ張ればOK。
  固いときは、プレート取り付けネジ穴に棒状のものを入れて、軽く叩けば外れます。


  取り付けネジのOリングはシリンダーのネジ穴にセットします。
  オイルタンクの取り付け穴からオイルガ漏れないようにします。
  「シリンダー+ピストン+オイルタンク」がダンパー本体。
  これがプレートに取り付けられます。



2.仕組み
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a.W.E.Rステアリングダンパーのオイルの流れと調整機構


・a : オイル通路孔,b : オイル通路孔
  aとbには次の写真の部品がはまっていて、入口が絞られています。

・オイル通路① : aとbの間には通路(赤線部分)があり、つながっています。
  ※「シリンダーがこれ以上分解できないことと加工方法」からの推測。

・オイル室 : シリンダーとオイルタンクがピッタリと重なり、
              写真の上側の扇形の部分がオイル室になります。ここをピストンが動きます。

・オイル通路② : cの溝がオイル室とつながっています。
                  シリンダーとオイルタンクがピッタリと重なると、ここがオイル通路となります。

・d : アジャスター。
        アジャスターを締めると、dが出てきて溝cを狭くしてオイル通路②の流量を減らします。
        アジャスターを一杯に締めると、dがオイル通路②を完全に遮断します。

・e : エア抜き穴

・f : ブレート取り付け穴。

・ピストンが右に動くとオイル室のオイルはaから入ってbから出る。
  さらに溝c(オイル通路②)を通ってピストンの右側から出てビストンの左側に出る。
  ピストンが左に動くとこの逆。


  この部品でaとbから入るオイル量を絞ります。
  詰まりを心配するのなら、「キャブクリーナー+パーツクリーナー」でOK。
  この「オイル通路②とアジャストスクリューの働き」が分かったときにはチョットときめき。
  疑問が解消されるのは気持ちのよいものです。


  溝深さは約1㎜。
  アジャスターネジは1/4インチネジでピッチが0.9㎜程度(28山/1インチ)※こちら
  この位置からアジャスターを1回転(360度)戻すと、ネジ面が 0.9㎜下がる。
  1/0.9回転(360度/0.9=400度)戻しでネジ面が1㎜下がり、溝底とツライチとなる。
  これ以上戻しても溝断面積は変わらず、オイル流量は変わらない。
  つまり、アジャスターでの調整は「一杯に締めたとき(最強)~400度戻したとき(最弱)」。



b.このネジの役割が分からない


エア抜き穴の側面にネジがはまっています。

  1/16インチのヘキサで外します。
  ミリ六角レンチ規格は対辺長が1.3㎜,1.5㎜,2㎜。インチ六角レンチ規格は0.05㏌(1.27㎜),1/16㏌(1.588㎜),5/64㏌(1.984㎜) → こちら  こちらも
  いもネジです。 → こちら

このネジの役割が分かりません。
「このネジを外せばシリンダーが分解できるのか?」とプレート取り付け穴にプラスドライバーを突っ込んで叩いたり、長いボルトをねじ込んでみたり。
シリンダーはこれ以上分解できません。シリンダー上面に三カ所の凸傷をつけただけ。

  ネジを一杯に締め込んだ状態です。
  ネジがエア抜き穴に出っ張ってきて、エア抜き穴を狭めることはありません。
  エア抜き穴は単なる貫通穴、このエア抜き穴に垂直にこのネジ穴が通っています。
  いもネジを外すと、エア抜き穴の壁に穴が開きます。

ネジだから、オイルは通れません。通ることができるのは空気か気圧。
エア抜き穴から空気を逃がす必要はないので、気圧が関係しているのでしょうか?
オイル室のオイルの温度が上がり、オイル室内の圧が上昇したときにこの圧を逃がすためのものなのでしょうか?
このネジを一杯に締めたら、このネジの意味がなくなってしまうから、30度くらい緩めておきました。
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3.必要なOリング


使われているOリングは5種類で7個。
オーバーホールにはOリング交換が必要。
モノタロウでOリングを捜してみました。
Oリングは実際にはめてみないとその適否がわかりません。何種類か準備しました。

いつものことながらモノタロウには敬服します。
プリンターインクやショックドライバーのビットなどと一緒に注文しましたが、三度に分けて宅急便で送ってくれました。
Oリング一個でも当然のように送ってくれる。なかなかできないことでしょう。

      
a.シリンダーのOリング


オイルタンクとシリンダーの隙間を塞ぐOリングです。

・溝内径 : 55㎜Φ,溝深さ : 1.4㎜,溝巾 : 2.3㎜
・シリンダー外径 : 57.8㎜Φ、オイルタンク内径 : 58㎜Φ
・はまっていたOリングをはめたときの外径 : 58.5㎜Φ,線径 : 1.9㎜Φ計
  選んだOリングは二種
・①.NOK-AS568-138B(内径/53.64㎜,外径/58.88㎜,線径/2.62㎜)
・②.NOK-S型固定用-S55(内径/54.5㎜,外径/58.5㎜,線径/2.0㎜) → こちら


  ①のOリングを溝にはめた外径=61.7㎜Φ。
  オイルタンク内径が58.0㎜Φだからオイルタンクにシリンダーがはいりません。
  Oリング外径58.88㎜Φで「チョットきつめ」を期待したのですが、没。
  ②のOリングをを溝にはめた外径=59.0㎜Φ。
  オイルタンク内径=58.0㎜Φ,純正Oリングを溝にはめた外径=58.5㎜Φ。
  Oリングの両側で0.25㎜だけ大きい。


この「0.25㎜オーバー」が問題。

  そのままシリンダーを、オイルタンクにはめてステー取り付けボルトで締めつけると、
  ところどころでOリングがはみ出してしまう。(写真上)

  Oリングにシリコングリスを塗り、親指の爪でOリングを溝に押し込みながら、
  少しずつ、取り付けボルトを締めて、シリンダーをオイルタンクにはめる。
  なんとか、Oリングのはみ出しをなくしても。Oリングの表面には爪跡のビビリ跡(写真下)

  『まあ、きつめの方がシール力が強いから…』

  いやいや、これでは別の問題が起こってしまうのです。

それは、オイルタンクから出ているシリンダーの部分。

・このOリングをはめて、シリンダーをオイルタンクに目一杯きつく取り付けると、
  オイルタンク上端からシリンダー上面まで 0.7㎜。(左の写真)つまり、0.7㎜ 出っ張る。
  純正Oリングでの出っ張りは「ほとんどない」。
  Oリングは完全にオイルタンクの中に入ってしまい、出ているのはシリンダーのテーパー部だけ。

・シリンダーの厚さ(高さ)=22.2㎜、オイルタンクの深さ=22.0㎜。
  計算上、シリンダー底がオイルタンクの底にピッタリくっつくと、
  「シリンダーの出っ張り量=0.2㎜」。

・「出っ張り量=0.7㎜」だと、シリンダー底とオイルタンク底に0.5㎜の隙間ができてしまう。
  シリンダー底とオイルタンク底に隙間があると、
  オイル通路②(2-a)の断面積を変えるアジャストスクリューの意味がなくなってしまう。
  アジャストスクリューを締めて溝cの断面積を少なくしても、
  オイルがシリンダー底とオイルタンク底の隙間から逃げてしまうからです。

  このNOK-S型固定用-S55 を使う場合は、
  Oリングを削ってはめた外径を58.5㎜にしなければなりません。
  目安はシリンダーの出っ張りがオイルタンク上端から0.2㎜以下。
  「0.2㎜」とは「かすかにツライチではない」と分かる程度。

シリンダーをオイルタンクに入れる場合、リング部にオイルかシリコングリスを塗り、両手でオイルタンクを持って両手の親指でシリンダーを押し込む。
「パツン」という感触でシリンダー底がオイルタンク底に到達。
この状態で、すでに出っ張りは 「ほとんどツライチ」
ここから、さらにプレート取り付けネジを締めて、シリンダーをオイルタンクに引き込んで、出っ張り量が計算値の0.2㎜となるのです。
なお、どれだけプレート取り付けネジを締めてもピストンの動きが渋くなることはありません。
どれだけ強くしめても、ピストン室の高さは11.1㎜でピストン外径は11.1㎜です。

目安は、
適正出っ張り量=0.2㎜,オイルタンク外側高さ(ピストンシャフト収納部除く)=26.7㎜,プレート厚=5㎜だから、
プレートに取り付けたダンパー本体の高さ=0.2+26.7+5=31.9㎜ → 32㎜未満。
これが32㎜以上だったら、ダンパー圧の調整ができないのです。

なお、シリンダーをオイルタンクに取り付ける場合は、アジャストスクリューを緩めておくこと。
アジャストスクリューを一杯に締めたままシリンダーをオイルタンクに取り付けると、アジャストスクリューの下端面もオイルタンクの底面にピッタリとくっついてしまい
アジャストスクリューを戻すことができなくなります。

       

b.ピストンシャフトOリング


  ピストンシャフトはシリンダーにはまりますが、
  このOリングはシリンダーシャフト孔の真ん中にあって、
  ピストンシャフトからのオイル漏れを防ぎます。
  ピストンの動きが渋いときは「このリングの劣化や汚れ付着」を疑いましょう。

・ピストンシャフト径=15.8㎜Φ
・シャフト孔内径=16.2㎜Φ
・リング溝の巾と深さは計測できず。

  選んでOリングは三種
・①.森清化工-S16-4C(内径/15.5㎜Φ,外径/18.5㎜Φ,線径/1.5㎜Φ,50%シリコン)※こちら
・②.森清化工-S16-1A(内径/15.5㎜Φ,外径/18.5㎜Φ,線径/1.5㎜Φ,ニトリルゴム)※こちら
・③.NOK-AS568-016B(内径/15.6㎜Φ,外径/19.16㎜Φ,線径/1.78㎜Φ) → こちら
  ※①と②は素材が違うだけでサイズは同じ。
  ※①・②と③とは内径がほとんど同じだが、③の線径が太い分だけ外径が大きくなっている。

  Oリングの適否は実際にはめてみなければわかりません。


  ①でのピストンシャフトの動きは
  「軽からず重からず、しっかりとしている」。(写真上側)

  ③は見るからに線径が太くてシャフトが動きにくそう。
  シャフトは「グッ」と押し込まなければ入らない。
  当然、シャフトの動きは少し重くなる。
  しかし、シャフトにはレバーが付くのでこの重さの増加は問題にはならないだろう。

  ①・②のS16でよいと思いますが、オイルがにじむようなら③のAS568。
  安いOリングだから、①と③の二種類を準備しておくのがよいでしょう。
  


       
c.アジャストスクリューのOリング


  アジャストスクリュー孔の内径=6.5㎜Φ
  途中から1/4㏌ネジ(ネジ外径6.2㎜Φ)が切ってある。
  Oリングは上と下に二個はまるが、
 リング溝外径・溝巾が同じで、孔内径も同じだから同じものでよい。
  準備したのは
・①.NOK-JIS OR型/OR NBR-70-1 P3-N (内径/2.8㎜Φ,外径/6.6㎜Φ,線径/1.9㎜Φ)※こちら
・②.NOK-ISO A 0031G(内径/3.15㎜Φ,外径/6.75㎜Φ,線径/1.8㎜Φ) → こちら
・①をはめた外径=6.6㎜Φ,②をはめた外径=6.7㎜Φ。
  アジャストスクリュー孔内径が6.5㎜Φだから、①でも②でもOKだが、
  ②でもアジャストスクリューも動くので、シール力が強い②を採用。


      
d.エア抜き穴ネジのOリング


  このOリングはネジ頭の中に半分入るようになっている。
  Oリングはネジ穴には入らない、ネジ頭にはいったままネジ穴を押さえる。
  ワッシャ+Oリングと同じ働きをする。

・Oリングが入る部分の内径=7㎜Φ,ネジ外径は4㎜Φ
  今回は準備しなかったが(ここにOリングがあるのを見落としていた)
  内径=4㎜,外径=7㎜弱のOリングならOKだろう。

・アジャストスクリューのOリング②.
  NOK-ISO A 0031G(内径/3.15㎜Φ,外径/6.75㎜Φ),線径/1.8㎜Φ)でもOKだろう。
・NOK-ISO A 0035 G(内径/3.55㎜Φ,外径/7.15㎜Φ,線径/1.8㎜Φ)でもOKかもしれない。

  なお、このネジは首下が約4㎜・ネジ山が5でピッチは約0.8㎜。
  M4でピッチが0.8のネジはないから、これもインチネジでしょう。
  №8-UNC(外径/4.1㎜Φ,ピッチ/0.79㎜(32山/㏌)が該当すると思いますが責任は持てません。


        
e.プレート取り付けネジのOリング


・Oリングをはめるシリンダーの穴内径=10.5㎜Φ
・ネジ外径は5.9㎜Φ
・Oリングは内径6~7㎜Φ,外径9~10㎜Φのものを選べばよい。

・選んだのは NOK-1AS7(内径/6.5㎜Φ,外径/9.5㎜Φ),線径/1.5㎜Φ) → こちら

・なお、NOK-iSO-A-0060G(内径/6.0㎜Φ,外径/9.6㎜Φ,線径/1.8㎜Φ)もOKです。
  これはFJキャブレターの燃料コネクタOリングとして試したものです(Oリング⑥)。
  ※燃料コネクタOリング/1個19円の汎用で充分,購入は → こちら

  なお、このネジはピッチが1㎜なので、メートルネジのM6でしょう。
  M6・皿ネジ・ネジ長(皿頭から)20㎜。

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4.オイル交換と作動チェック


a.オイル交換の方法


  指定オイルは♯10~♯15のサスペンションオイル。
  いつも使っているヤマハのG-10 を使います。

  オイル注入は油差し。オイルを押し出すことができればOK。

  取り扱い説明書には
  ①ハンドルを右に一杯きる
  ②アジャストスクリューとエア抜き穴のネジを外す
  ③アジャストスクリュー穴に少しオイルを入れて、スクリュー穴のエアーを抜く
  ④オイルを圧送する
  ⑤エア抜き穴からエアが出なくなるまでオイルを入れこぼす。

  要するに、
・アジャストスクリューの穴からオイルを入れる

・オイル通路②を通ってオイルがオイル室を満たして、空気をエア抜き穴から押し出す。


なぜ、ハンドルを右に一杯切るか?

  これがハンドルを右に一杯切った状態。
  アームを留めているボルトの方向がピストンの位置です。
  これがハンドルを左に一杯切った状態。
  ピストンはエア抜き穴を中心に動きます。

なぜ、ハンドルを右に切った状態にしなければならないのでしょう。
これは、ピストンがエア抜き穴の下にきて、エア抜き穴を塞がないようにするため。
だから、ピストンが真ん中にこないようにハンドルをどちらかに切った状態にするのです。「右」にこだわる必要はありません。


b.オイル交換(オイル注入・エア抜き)の実際


②アームを外す,アジャストスクリューとエア抜き穴のネジを外す。

③アジャストスクリュー穴に少しオイルを入れてスクリュー穴のエアを抜く。
・あまり気にする必要はありません。小さい穴だからオイルを入れたらそこにあったエアーは上に逃げてしまいます。

④油差しの先をスクリュー穴に突っ込んでオイルをオイルを入れる。
・オイル通路は深さ1㎜の溝です。ゆっくりと確実に油差しを握ってオイルをオイル室に入れていきます。
・エア抜き穴からなかなかオイルがでてきません。「エア抜き穴からオイルを入れてやろうかな?」という誘惑に負けてはいけません。
  エア抜き穴からオイルを入れると、エアが閉じ込められてしまいます。

⑤エア抜き穴から気泡が出なくなるまでオイルを入れこぼす。
・最初に「ポコッ」とオイルガ出てきます。それまでにオイルに押されてエアが抜けているはずです。
・続けてオイルを入れていると「ボコ、ポコ、ポコ」と気泡が一緒に出てきます。あとは気泡はでてきません。

⑥アジャストスクリュー、エア抜き穴ネジ,アームを取り付けてアームを何回か動かす。
・「オイルをアジャストスクリュー穴から入れただけでは、入口が絞ってあるオイル通路①にオイルガはいっていないのでは?」
  「オイル通路①にオイルガ入っていないなら、オイル通路①に入っているエアが抜けていないゾ」と考えたからです。
・ただし、この作業のあと、アジャストスクリューからオイルを入れてもエア抜き穴からは気泡が出てきませんでした。
・説明書に書いてないこの作業は不必要でした。


c.アームの動きがとても固い


アームを動かしていて動きがとても固いのに「?」。
真ん中でぐっとピストンの動きが引っかかる。
アジャスターを一杯に締めて「最強」にすると、動かすのに指の腹が痛くなるほど強く押さなければならない。

しかし、ピストン,シリンダー,オイルタンクには異常はなっかった。シリンダーの作るオイル室の高さは11.1㎜、ピストン外径も11.1㎜。
こんなにピストンの動きが固いのはオイル通路①が詰まっているのか?

いま取り付けてあるダンパー(同型・新品を装着)はこんな引っかかりはない。
ハンドルを動かすとスムーズに動くゾ。

そこで、RMX②に取り付けてあるダンパーと比較してみました。

  バネ秤をアームに引っかけて抵抗力を測定。
  今回のダンパーは、
・アジャスター/最弱 → 0.5㎏~1.5㎏。
・アジャスター/最強 → 0.5㎏~2.3㎏。

  これに対し、現在使っているダンパーは、
・アジャスター/最弱 → 1㎏弱~2.5㎏弱
・アジャスター/最強 → 1㎏弱~3.5㎏
※ダンパーが取り付けてあるので、アームが動くとアームの角度が常に変わる。
  そのため、バネ秤をアームの直角方向に引っ張ることが難しいので、大きな値が出る。

  なんと、今取り付けてあるダンパーも同じような値なのです。
  アームを押し引きしてみると、同じように真ん中でピストンが引っかかるように固くなる。
  アジャスター/最強では押し引きする指の腹が痛くなるほと固い。

  これが正常なのです。
  



d.オフロードバイクにピッタリなW.E.Rステアリングダンパー


今回、W.E.Rステアリングダンパーをオーバーホールして感じたことは、このダンパーがオフロードバイクに合っていること。
・構造が簡単だから、故障が少ない。
・分解が簡単だから、メンテナンスが楽。
・オイル交換が簡単だから、コース状況に応じてオイル粘度を変えられる。
・ステアリングステム取り付けでライディングの邪魔にならない。

その構造からダンパーの働きが大雑把だと推測されますが、オフロードではサーキットでのレーサーほどの繊細さは必要ありません。
オフロードでダンパーが必要になるのは「それ相応の走らせる技術」がある場合だけ。
しかし、オフロードモタードをアスファルトで走らせる場合には、フロントの不安定さを解消するために初心者でもダンパーが必要です。
このダンパーはYahooオークションでときどき1万円以下で出品されます。
RMXモタードを走らせている方は是非入手されることをお勧めします。


つづく




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