RMX-SJ13 整備資料



 2017.06.14  シュラウド・サイドカバー・フェンダー塗装





オフロードからのリターンライダーなのでカウルや車体の傷や凹みはまったく気になりません。

コースでこけることは当たり前。
新車をおろしてもすぐにガリガリになります。

しかし、最近はアスファルトの上だけ。
土日に走らせると、周りはピカピカのバイクばかり。

SJ13のシュラウドは劣化変質してスズキイエローが白っぽくなっています。
サイドカバーはガリガリ傷と傷に染み込んだオイル汚れ。

少し見栄えをよくするために費用をかけずに塗装しました。
塗装はシュラウド4枚、サイドカバー6枚、フロントフェンダー2枚、リヤフェンダー2枚。

使ったのは白色ラッカースプレー、黄色ウレタンスプレー、クリアーウレタンスプレー 各1本。
スプレー塗装は全くの素人、費用は前部で5千円程度です。


劣化・変質したものの塗装/下地処理+ウレタンスプレー
最初の状態
必要なものと不要なもの
手順/劣化・変質部分の下地処理
手順/ウレタンスプレー吹きつけの注意
仕上がり
「下地処理+同色のウレタンスプレー」か「下地処理+クリアーウレタンスプレー」か
深いガリ傷があるものの塗装/下地処理+アクリル+ウレタンクリアー
最初の状態
手順/ガリ傷の処理とアクリル塗装の完全硬化
仕上がり
きれいになった二台のRMX
きれいなシートを二個入手。2200円


    
1.劣化・変質したものの塗装/下地処理+ウレタンスプレー

   
a.このような状態です。


  正選手RMX② の右シュラウドです。
  白っぽくなっている部分が完全劣化、
  黄色部分も表面が劣化していてツヤなどありません。
  おまけに白っぽくなった劣化部分にガソリンが付いてシミになっています。
  手前が正選手RMX②の左シュラウド。
  黄色が残っているところは殆どありません。
  奥が控え選手RMX③の左シュラウド。
  全体が白っぽくなっています。


  RMX③の右シュラウドです。
  左と同じく白っぽく粉ふき状態。
  黄色い部分はステッカー部分。
  これはRMX③のリヤフェンダー。
  ここも白っぽく劣化しています。
  控え選手だからといってもあまりにも見すぼらしい。


  これはストックしてある予備部品ですがこの通り。

  Yahooオークションに出品されているのはほとんどがこの状態。
  しかし、人間と違って、この状態から簡単に美肌に戻せます。
  費用はウレタンスプレー1本他で 2500円程度。

 時間は日曜の一日だけでOK。

  この写真の中からは
  フロントフェンダー2枚と黄色いリヤフェンダーをウレタンクリアー塗装しました。


    
b.必要なものと不要なもの


 ◎必要なもの
 ①ステンレスたわし : 劣化した部分をこれで取り除きます。一個でOK。
 ②スチールウール : ステンレスたわしで劣化部分を除去したあとで仕上げをします。
 ⑤400番空研ぎペーパー : ステンレスたわしで傷が付いた場合に使います。
 ⑥800番耐水ペーパー : スチールウールで取りきれなかった部分を擦ります。
 ⑦1000番と2000番耐水ペーパー : 塗装後の仕上げをします。1枚でOK。
 ※ガリ傷がある場合は、空研ぎペーパーの120番・240番各一枚が必要。
 ⑧二液式アクリルウレタンスプレー : 2000円程度。
 ※イサム塗料株式会社 ・ エアーウレタン ・ 315㎖  2143円
 
 △不要なもの
 ③スクレーパー : 劣化した部分を 「 カリカリ 」 と削ぎ落とすのに使いました。
   「 カリカリ 」 は面白いのですが、どうしても健康な部分に傷を付けてしまいます。
   最初からステンレスたわしを使った方が出来上がりがよくなります。
 ④ドリル用ワイヤーブラシ : これを使ってはいけません。劣化部分より深く傷を付けてしまいます。
 

   ★★01    
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c.作業手順


イ.マスキング

今回はステッカーをそのまま残して上から塗装するのでステッカー部分をマスキングします。

マスキングにはマスキングテープ ( 右 170円 ) より、
 幅広の透明ビニールテープ ( 左 134円 ) の方が適します。

 このビニールテープをステッカーに貼りつけ、
 ステッカーの境目に沿ってカッターを入れていきます。
 ステッカーの境目の劣化部分がステンレスたわしやスチールウールで取れないときは
 カッターの背の部分で削り取ります。



ロ.ステンレスたわしで白っぽくなった劣化部分を擦り落とす

おもしろいほど劣化部分が取れていきます。
白っぽい部分を完全に取らなくてもOK。白っぽく雲がかかった状態でステンレスたわしは終了。

なお、ステンレスたわしは「 240番~400番 」に相当する削り落とし力があります。
次の段階でステンレスたわしの傷が消えない場合は、400番で傷部分を削り落とし。それでも消えなかったら240番→400番で。


ハ.スチールウールで白っぽく雲のかかった部分を削り落とす

通常のスチールウール ( ボンスター ) は1000番程度相当、百均のスチールウールはもう少し粗くて800番程度相当です。
塗装前の足付けは800番くらいなので、スチールウールで磨けば足付けをする必要はありません。


ニ.スチールウールでも取れなかった白っぽい部分は 400番 o r800番 で擦り落として、その後スチールウールで磨く。


塗装前のこの段階で次のような仕上がりになります。
※写真のシュラウドは劣化部分を取り除いただけで今回は塗装対象から外しました。

劣化部分が完全に取れて、もともとの素材色が出てきます。

このまま取り付けてもよいくらいですが、劣化を防いだり、ガソリンがかかった場合の変質を防ぐためにウレタン塗装をします。




ホ.脱脂

スプレーの前に塗装部分を台所洗剤で脱脂。
「 脱脂をしないと塗装をはじいてしまう 」 とか。

もっとも、最終的には800番or1000番相当のスチールウールで擦っているので脂分など残ってはいないでしょう。
まあ、ここは高いウレタンスプレーを使うのですから脱脂作業をしておきます。
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ヘ.ウレタンスプレー吹きつけと注意点

今回は、二つの対象物につき異なったスプレーで塗装しました。
・対象1(黄色だけのもの) : 下地処理をしたあと黄色ウレタンスプレーで塗装
・対象2(黄色と白のもの) : 下地処理をしたあとクリアーウレタンスプレーで塗装

時間制限があるので計画的に

二液性は混合後、缶の中で徐々に硬化していきます。
「 その日のうちに使い切ること 」 ( 注意書き )

「 スプレーが残ったか…。そうだ、これも塗ろう。今から下地処理をして塗るのは明日。」 ということはできません。
計画を立てて、塗るものを事前に準備しておかなければなりません。

注意書きには標準塗り面積は 「 二回塗りで0.6~1.0㎡ 」 と記載されていますが案外たくさん塗れます。

・対象1 : 黄色3回塗りで、シュラウド4枚、リヤフェンダー1枚、フロントフェンダー1枚が塗れました。
・対象2 : クリアー2回塗り+αで、サイドカバー6枚、フロントフェンダー2枚、リヤフェンダー1枚が塗れました。

初心者は控えめに何回も薄く吹く

スプレーのコツは、
・薄く何回も塗り重ね。
・手を止めないで同じ方向に。
・対象物との距離は近目で ( 注意書きが 「 15㎝~25㎝ 」 なら 「 10㎝~15㎝ 」 で。
ンT垂れる寸前で止める。ただし、初心者は 「 垂れないこと 」 を心がけなければならないとか。

・対象物との距離が遠いと、
  「 対象物に塗装粒子が到達する前に溶剤が蒸発してしまって塗装粒子だけが対象物に吸着される 」 とか。
  その結果、塗装面がザラザラになるという。
  そのためには 「 対象物との距離は近目 」 で 「 垂れる寸番で止めるのが必要 」 だとか。

しかし、こんなことは素人にはできません。
ザラザラはあとで消すことができますので。初心者はとにかく 「 控えめに、薄く何回も 」


・初期硬化 : 30分、 初期硬化乾燥 : 60分、 硬化乾燥 :78時間 ( 注意書き )
  初期硬化が始まる前に重ね塗りをしなければなりません。
  重ね塗りは 10分~20分 ( 注意書き ) ※対象物が多いので 最後の対象物を塗ってから 10分後

③垂れた場合は後から修正

垂れた場合はそのままにして初期硬化の前にペーパーで修正。

慌てて、垂れた部分をシンナーやパーツクリーナーで取り除いてはいけません。
くっきりと塗装段差ができてしまいます。

ザラザラが気になったら

ザラザラは塗装粒子です。
そのうち擦れて取れていくでしょうが、クリアーならまだしも黄色では革パンが黄色くなりそうです。

ザラザラ塗装粒子は2000番耐水ペーパーで取り除きます。

・まず、2000番で軽く表面を擦る。表面をすぺらせる程度です。
  この作業は「 塗装表面に貼りついた塗装粒子を取り除く 」 のが目的です。
  軽く軽く表面をすべらし、ザラザラがなくなったら終了。

・次に2000番で水研ぎ。
  空研ぎでは削り取った粒子や汚れが磨き傷に擦り込まれてしまいます。
  水研ぎでこれらを流し取ってしまいます。

・表面はツルツルになりますが光沢は出ません。
  光沢を出すのなら、「 垂れる寸前で止めて 」 厚く塗らなければなりません。

       
d.仕上がり


まずは、対象1の仕上がり。

RMX②とRMX③のシュラウドとRMX③のリヤフェンダーを下地処理のあと黄色ウレタンスプレーで塗装。

写真よりもう少し鮮やかな黄色になっています。

表面のツヤは写真ほどありません。

このサイズの写真では判りませんが、スクレーパーによる線傷の名残が付いています。



次は、対象2の仕上がり。
下地処理をしたあと、黄色や白のウレタンスプレーを使わずに、クリアーのウレタンスプレーを吹きつけたものです。

・写真のフロントフェンダー2枚とリヤフェンダーは下地処理をしたあと、そのままウレタンクリアー塗装。
・サイドカウル6枚は、次に述べる 「 ガリ傷取り 」 をしたあと、白色アクリルスプレーをを吹いてその上からウレタンクリアー塗装。



さすがに、クリアーだけあってツヤが出ます。
ただし、黄色は下地処理の状態なので、色の鮮やかさはウレタン黄色にやや劣ります。



    
e.「下地処理+同色ウレタン」か「下地処理+クリアーウレタン」か?


一番よいのは「同色ウレタン塗装のあとクリアーウレタン塗装」
しかし、それでは費用がかかる。
同色かクリアーかどちらか一つでやりたい。
どちらがよいか?

・同色ウレタンだけは「発色でやや勝るが、ツヤが出ない」。
・クリアーウレタンだけは「ツヤは出るが、素材色のままなので鮮やかさがやや劣る」。

結論としては「クリアーウレタン」をお勧めします。

理由は、

①耐久性や耐ガソリン性に勝る。
②透明なので塗りむらが目立たない。
③違う色にも使える。
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2.深いガリ傷のあるものの塗装/下地処理+アクリル+ウレタンクリアー


サイドカバーのようにガリ傷のあるものはガリ傷を消してから塗装しなければなりません。

    
a.塗装前の状態


まずは正選手RMX②のサイドカバーの状態です。

ビギナーはコースですぐにこのような状態になります。
まだ穴があいていないだけマシです。




次は控え選手のRMX③のサイドカバー
エンデュローに使っていただけあって傷だらけです。



      
b.作業手順



イ.ガリ傷取り

「 120番 → 240番 → 400番 → 800番 → スチールウール 」 と少しずつ傷を消していきます。

・ペーパーはサンドペーパーより空研ぎペーパーの方が良い。

・120番より粗い60番では表面が毛羽立ってしまう。
  「 深い傷を手っとり早く60番で消してしまおう 」 という気持ちになりますが、60番の磨き傷を120番で消すためには60番でかかった時間の3倍の時間が必要になります。
  それなら、初めから120番で60番の3倍の時間を使った方が早く済みます。
  「 ペーパーの番手は控えめにして磨き時間を長くする 」 のがコツのようです。

・120番では「粉をふいた状態」、240番では「軽く粉が残る状態」、400番では「少ししっとりしてチョークのような状態」、800番では「しっとりとした状態」になります。

・ポイントは 「 前の段階より3倍の時間をかける 」 こと。
  前の段階の磨き傷を完全に消すこと。
  前の段階の傷は今の段階でしか消せず、次の段階になると消せないので最後まで残ってしまう。

・このように作業をしていくと、120番から最終のスチールウールまでには長い時間と多くの労力が必要になります。
  それなら「薄付けパテ」で傷を埋めた方が簡単です。
  しかし、アスファルトの上だけを走るにしてもRMXはオフロードバイクです。
  薄付けパテで傷を埋めたサイドカバーなど付けて走る気はしません。


ロ.同色塗装

これだけ傷があると素人の技術と根気では傷を完全に消し去ることができません。
傷を目立たなくするために同色で塗装する必要があります。

サイドカバーはシュラウドのようにガソリンがかかることはありません。
しかし、右サイドカバーはチャンパーとサイレンサーのつなぎ目やサイレンサーから吹き出すタールで汚れます。
タール汚れはパーツクリーナーで拭き取りますから、ガソリンがかかるシュラウド以上の耐薬品性が必要になります。

だから、ウレタン塗装は必須です。

理想的なのは、「 白色ウレタンのあとクリアーウレタン 」
しかし、費用がかさみます。

簡単なのは「同色ウレタンのみ」ですが、クリアーウレタンの耐薬品性を考慮して 「 白色アクリル塗装のあとクリアーウレタン塗装 」 としました。
白色ウレタン+クリアーウレタンなら、2100円×2=4200円。
白色アクリル+クリアーウレタンなら、300円+2100円=2500円。


ハ.アクリル塗装のあと一週間乾燥

アクリル塗装では溶剤が抜けて完全硬化するまでに一週間かかります。

それまでにウレタンクリアーを上に塗ると引き攣れを起こします。

アクリル塗装を完全に乾かして完全硬化させなければなりません。


ホ.アクリル塗装の表面処理

アクリル塗装を完全硬化させたあと、1000番耐水ペーパーで塗装面(塗り肌)が荒れているところ、厚いところを軽くならします。

塗装面に出た磨き線も1000番で目立たなくします。

ただし、やりすぎるとかえって 「 色むら 」 が生じます。

この作業はあくまで補助的なもので、下地作業の悪さをカバーするものではありません。


ヘ.クリアーウレタン塗装


注意点は上に述べたのと同じ。

タールか付着する右サイドカバーとリヤフェンダーを厚めに吹きつけ。


ト.ザラザラ処理

表面にザラザラを感じたら2000番で軽く擦る。

クリアーだから革パンに色が付くことはないので、ここは軽く軽く。

    
c.仕上がり

まずは正選手RMX②のサイドカバー。
見違えるようになりました。



次に控えのRMX③。
「 控え 」 でも、いや 「 控えだからこそ 」 きれいにしておかなければなりません。


  ★★02    
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3.塗装後のRMX二台


正選手RMX②はこのように仕上がりました。

・今までフロントフェンダーとリヤフェンダーは白色でしたが黄色に塗装しました。 「劣化部分を除去したあと黄色ウレタン」
・シュラウドは「劣化部分を除去したあと黄色ウレタン」。
・サイドカバーは「ガリ傷を消したあとアクリル白+クリアーウレタン」。
・厚塗りだったフロントカウルも「下地処理をしたあと黄色アクリル」。



ずいぶんきれいになりました。
これで休日に尾鷲・熊野峠を走っても見すぼらしくはありません。




次は控え選手のRMX③の仕上がりです。

・シュラウドとリヤフェンダーは「劣化部分を除去したあとに黄色ウレタン」。
・フロントフェンダーは「劣化部分を除去したあとにウレタンクリアー」。
・サイドカバーは「ガリ傷を消したあと白色アクリル+ウレタンクリアー」。
・白色だったフロントカウルは「ガリ傷除去のあと黄色アクリル」。

シートも程度の良いストックに換えました。



エンジン好調。
ナンバーを取ればすぐにでも登板できます。



やはり、RMXにはモトクロスタイヤが似合います。
しかし、膝の故障のためにスタンディングができないのでダートは走れません。
砂浜ぐらいなら走れるかな?



イエローマジックのSJ13です。



リヤ17インチが欲しい!→→→★あと9カ月の辛抱です。→こちら
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どちらも「立ちごけ」しません。




4.2017.09.27 追記



7月・8月は仕事が忙しくてオートバイは触れませんが、Yahooオークションだけはせっせとやっていました。

8月7日に入手したシートです。



左側が張り替えのシート、右側がノーマルシートです。どちらも破れはありません。

落札価格は二つで 2200円。

競争相手は一人だけ。
出品(開始)から終了までが一日だから、「見つけた者勝ち」になってしまうのです。

オートリメッサ・ステージⅡ用のキャブレターとエアクリーナーカバー、そしてインテークマニホールドのセットも開始価格の2500円で落札。

「見つけた者勝ち」の出品者さんは→→→ こちら




正選手のRMX②はこんなにきれいになりました。

あとは走るだけですネ。


つづく




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