RMX-SJ13 整備資料



 2016.04.08  ジャダースプリングを入れてノーマルに/ジャダースプリングの構成と取付





前回組み上げたエンジン⑤のクラッチは、ジャダースプリングを入れないでPJ12と同様の「ドライブプレート×8+ドリブンプレート×7」としました。→→→こちら
ジャダースプリングなしではクラッチが「スパッ」と切れて気持ちがいいのですが、公道上では信号スタートの半クラッチに気をつかわなければなりません。
やはりジャダースプリングを入れることにしました。ここではジャダースプリングの構成と取付について説明します。

ジャダースプリングの構成
ジャダースプリングの順番と方向


1.事前準備が結構めんどう


 冷却水とギヤオイルを抜くのは当然。

 外すのは
 ・ ウォーターポンプ入口パイプ ( 正式名称はウォーターインレットコネクタ )
 ・ キックアーム・
 ・ ブレーキペダル
 ・ クラッチレリーズアーム
 ・ オイルポンプ

※オイルポンプはオイルポンプ側で三つのパイプを外せば簡単です。
  しかし、私はオイルタンク側 ・ キャブレター側 ・ シリンダー側でパイプを外し、
  パイプごとオイルポンプを外します。
  これは、オイルポンプ側のオイル流入パイプが強く曲がっているため、
  オイルポンプ側をはめたり外したりすると、挿入が甘くなりオイル漏れを起こすからです。



2.あとは簡単


 外すのスプリングボルトだけです。

 このボルトは強く締まっていませんから、プライマリードライブギヤにウエスを噛ませれば充分です。

 バイクを横にする必要はありません。
 サイドスタンドの傾きだけでクランクケース内に残っているオイルは漏れてきません。


    
3.ジャダースプリングの構成


 d:ジャダースプリング(正式名称はウェーブワッシャ・皿形に反っている)
 e:ジャダースプリング用シート(正式名称はウェーブワッシャシート)
 a2:ジャダースプリング用ドライブプレート / 21441-16710 クラッチドライブプレート,T:3 / 1674円
 a:通常のドライブプレート×7 / 21441-07A02 クラッチドライブプレート

dとeはa2の内側にピッタリと収まります。


・ aを重ねると少しだけジャダースプリングが顔を見せます。
・ 完全に重なると思っていたけれどそうではありませんでした。
・ この「少し顔を見せる」のが設計者の意図でしょう。
これに対しドリブンプレートはジャダースプリングと完全に重なります。
・ ドリブンプレートはジャダースプリングと直接接するのだから当然です。


    
4.入れる順番と向き


・入れる順番は、内側から e→d→a2→ドリブンプレート→a(ドライブプレート)
・dは凹面/反っている側を外側(ドリブンプレートに接するよう)にして組みます。
  ※NSR250R,SP,SEサービスマニュアルP8-14
・ドライブプレートには裏表がないので、どちら向きに入れてもかまいません。
・ドリブンプレートにはエッジの立った側と角が丸い側があります。
  一般に「エッジの立った側を内側にして組む」と言われていますが、
  方向が同じならかまわないでしょう。

それでは、ジャダースプリングの下に入るジャダースプリングワッシャはどちら向きに入れるのでしょうか。
このシートもドリブンプレートと同じで、エッジの立った側と角が丸い側があります。

どちらでも良いでしょうが、「内側はアルミのクラッチアウター(プライマリードリブンギヤ)に当たる、外側はスチール製のジャダースプリングに当たる」ことから、
クラッチアウターの磨耗軽減のために「角が丸い側」を内側にして組みました。



5.その他


・スプリングボルト締め付けトルク : 90~100㎏・㎝
・すべてのボルトを行き止まりまで軽く締めておいてから、一気に100㎏・㎝まで。
・100㎏・㎝を超えると滑るので、値を基準にせず締め付け角度を基準にする。。
・二度締め・確認締めはは禁物。一回で締める。
・一番内側のドライブプレートにジャダースプリングが内蔵されています。
・ギヤオイル量は分解時/750㏄、通常時/650㏄です。
  クラッチカバーにある「650㏄」の刻印は通常交換時のギヤオイル量です。



クラッチ操作は「なめらか」になります。

もう、信号スタートで半クラッチに気を使ったり、フロントアップを押さえたりする必要はありません。

ただし、「Nが出にくいこと」も元に戻ります。

「なめらか」という好評価の裏には「まどろっこしい」というマイナス評価があります。


つづく




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