RMX250-SJ13 整備資料



 2016.03.22  二度目の“かし丸君”





RMX②のスプロケットとチェーンを新しくしました。

チェーンのかしめにはかし丸君を使いました。

DIDの“かし丸君”はよくできた“チェーンかしめ道具”です。
プレート圧入も継手ピンの かしめ も、「普通に締めていって、固くなったら完了」。
それで、「合格値」になるように設計されています。

「初めてのかし丸君/NSR」では、いつも通りの理屈攻め。
「二度目のかし丸君/RMX」では「固くなったら完了」と「実際の数値」
「三度目のかし丸君/FJ」では「固くなったら完了」だけ。

かし丸君を使おうとしている方の疑問と不安に応えます。


スプロケットとチェーンの状態
初めてのかし丸君
27Mメガネがあると楽
チェーンカットに苦労する
取説の「ピンは進行側のピンを切る」の理由
プレート圧入/取説の「プレートホルダーの溝にピン先端が接するところまでボルトを締める」への疑問
かしめ/取説の「かしめピンのフレアー部(先端の部分)が継手プレート面に接するまで」の意味、
  動画取説の「かしめたピンに かしめピンが入ればOK、入らなければかしめ不足」の意味

「かしめ完了」の数字
「かしめ不足」より「かしめ不良」に注意
二度目のかし丸君
プレート圧入の結果と数字
かしめの結果と数字
三度目のかし丸君
スプロケット取り付けボルトに入る皿バネ座金の汎用品と取り付け方向


    
1.スプロケットとチェーンの状態


a.スプロケット


AFAMの 520-46 が随分磨耗してしまいました。

もとは、2012年暮れに入手した6万円の「エンジン換装用RMX③」に付いていたものです。

RMX②にいつ取り付けたのか忘れましたが、これだけ削れてしまえば欠損の危険だけでなく伝達効率も悪くなっているでしょう。

交換するのは「いろいろ部品取り合わせ・1000円」の中に入っていた“ほとんど新品”の純正 スチール・520-46 です。
※部品番号/64511-14D31,リヤスプロケットNT46/10098円(税込)。

三台のSJ13の中で一番調子が良く・程度の良いRMX④に取り付けてありましたが、RMX④は控え選手なので削れたAFAMと交換。


b.チェーン


このチェーンは最初の“部品取りRMX①”についていたものです。

RMX①が公道復帰をしてから今まで5年間、RMX①とRMX②でずっと使ってきたものです。

そろそろ交換時期のはずです。

前/15枚・後/46枚(標準)でアジャスターは「1+1」。

チェーンの弛みは、下部中央で40㎜ (標準は40~50㎜)

21ピン間の長さは、チェーンを張った状態で 320㎜ ( 使用限度:324㎜ )
※21ピン間:10駒の最初のピンの手前のピン~10駒の最後のピン

驚いたことに「まだ使える」のです。
アスファルトの上ばかり走っていて、飛んだり跳ねたり汚れたりしないので寿命が長いのでしょう。

5年間の感謝をこめて拍手で引退してもらいました。

人間も「惜しまれる内が花」です。


c.新しいチェーン

・新しいチェーンで、アジャスターを「 1-1 」にすると、
  チェーン弛みはタイヤを浮かせた下側中央で 30㎜。

・アジャスターを「 1-2 」=「 0+1 」にすると40㎜。

・アジャスターを「 0 」にすると 60㎜+α で見るからに弛みすぎ。

・「 0+1 」・弛み40㎜に設定。

※標準は「サイドスタンド使用、チェーン中央で 40~50㎜」

 古いチェーンではアジャスターが「 1+1 」で弛みが 40㎜。
 チェーンを新しくすることによって「アジャスター3クリック分」若返ったことになります。

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2-0.初めての“かし丸君”


前回かし丸君を使ったのは2015.10。
NSRの小ぎれい化でチェーンを新しくしたときです。→→→こちら
ここに、その部分をコピーしておきます。


a.かし丸君

・かし丸君#50系セット → こちら
・もっと易いところを探してください → こちら
・かし丸君パーツ → こちら
・DID 520VX3/108リンク → こちら
・DID VXシリーズジョイント → こちら

もっと高価なDID・520 → こちら

  かし丸君の使い方は DID が詳しく説明しています。 → こちら

  次に述べるように19Mと27Mのスパナが必要になります。
  ついでに入手しておいてください。
・TOPの27×24Mメガネレンチ → こちら
・TOPの19×22Mメガネレンチ → こちら
・TOPの両口メガネレンチ → こちら

・その他のメガネレンチ → こちら


     
b. 27Mのメガネがあると楽

・かし丸君ではボディ側に 27Mスパナ(メガネ)、
  圧入(切断・かしめ)ボルトに 19Mスパナ(メガネ,ラチェットボックス)を使います。

・27Mスパナがないときはバイスプライヤーやウォータープライヤーでもかまいません。
  ただし、力が入れにくいので27Mメガネがベストです。

・また、チェーンは固定されていません。
  吊り橋のように「あっちへ、こっちへ」揺れます。
  圧入ボルトを締めたり緩めたりするときは、
  二つのスパナを 7時位置と5時位置にセットし、二つを合わせるようにして動かすとうまくいきます。

・圧入ボルトを締めるとき→ボディ側(下)のスパナ/7時、圧入ボルト側(上)のスパナ/5時
・圧入ボルトを緩めるとき→ボディ側(下)のスパナ/5時、圧入ボルト側(上)のスパナ/7時」
※写真は「圧入ボルトを締める」ときの位置。
 


     
c.チェーンカットにサンダーを使うと苦労する

・かし丸君でチェーンをカットするのはちょっと時間がかかります。
・他サイトでよく説明されているのが、サンダーでピンの頭を削り取ってプレートを外す方法。

・しかし、ピンの頭を削ってもプレートは簡単に外れません。(写真の状態)
・そして、頭を削った後に かし丸君で切断しようとすると、
  ピン穴が変形しているので、カットピンの位置決めが難しくなります。
  また、カットピンをピンに対して真っ直ぐに当てることができなくなります。

・今回は写真の状態から かし丸君でカットしたので手こずりました。
  サンダーで削る方法はあまり勧められません。

・一番簡単なのは、チェーンをスプロケットからはずして弛ませ、、
  木片の上に置いて 「強力切断パンチ」で一撃すること。
  次回からそうしましょう。


     
d.「ピンは進行側のピンを切る」?

取扱説明では「ピンは進行側のピンを切る」とされています。(上の写真では上側のピンを外すことになります。)

これはなぜでしょうか?

古いチェーンは切断したあと新しいチェーンにつないで一周させて捨てるだけ。
どこをどう切ってもいいはずです。


少し考えてみました。

新しいチェーン(継手駒でつないでいないチェーン)は両側が内側プレート。

古いチェーンを進行側で切ると、進行側の駒は内側プレート。

新しいチェーンを古いチェーンにつなぐ場合、両方が内側プレートなので継手駒でつなげる。

古いチェーンを後退側で切ると、進行側の駒は外側プレート。

この古いチェーンに新しいチェーンをつなごうとしても、外側プレートと内側プレートでは継手駒でつなげない。

また、つないだところだけ内側コマ(内側プレート)が欠落していて、前側スプロケットで外れる可能性がある。

このような理由でしょう。


つまり、古いチェーンに新しいチェーンをつないで、一周させて古いチェーンを新しいチェーンにする。
このときに、新しいチェーンに付属している継手駒を使うため。
“つなぎ”に継手駒を使わずタイラップを使うのなら、どちらのピンを外そうと問題ありません。

       
e.プレートの圧入はどこまで/締めていって「行き止まりを感じたら」終了


取扱説明書では 「プレートホルダーの溝にピン先端が接するところまでボルトを締める」

・プレートホルダーの溝とは aの凹みです。
・aの凹みにチェーンのピンがはまり、b の部分がプレートを押します。
・取説は「チェーンのピンが aに当たったらプレートの圧入終了」と言っているのです。

・ということは、「プレートが適正位置に圧入された場合」に、
  「プレートから出ているピンの長さ= a の溝深さ」なのです。
  そのように設計されているのでしょう。
 
 


※素人の疑問

しかし、「プレートが適正位置に圧入された場合に、プレートから出ているピンの長さ」は各メーカー同じなのでしょうか?
DIDのチェーンなら全て同じなのでしょうか? 520 と 530 で同じなのでしょうか?

もし、この長さが a の溝深さより短いチェーンなら、プレートは圧入し過ぎとなります。

逆に、この長さが a の溝深さより長いチェーンなら、プレートの圧入は甘くなります。
また、この場合は「もう少し圧入しよう」としても、ピンが c で止められているので、ピンがつっかい棒になってプレートが動きません。
これ以上、プレートを圧入することができなくなるのです。

かし丸君の設計者もこんなことは予期しているでしょう。
そのために、a の溝深さに余裕をもたせているかもしれません。

もし、そうだとすれば、常に「 プレートが適正位置に圧入された場合に、プレートから出ているピンの長さ < a の溝深さ」となり、
取説の言うように 「ピンが a 溝に接するまで圧入する」と 「いつも圧入しすぎ」となります。


そもそも、プレート圧入作業中に「ピンの先が a に接したかどうか」など覗いてみても分かりません。

この取説の圧入基準は「?」が多い気がします。


プレートホルダー b は プレートを押していきますが、d で止められているので、プレートが内側駒に当たったら行き止まりとなります。

だから、プレートの圧入完了の基準は「ピン先が a 溝に接したとき」ではなくて「プレートが内側駒に接したとき」ではないでしょうか?

「そんなことは当たり前で、圧入が完了したかどうかの基準にはならない。そこからどれくらい圧入すればいいのかが知りたいンだ」と言いたくなるでしょう。

しかし、プレートが内側駒と接したらそれ以上圧入してはいけないのです。

プレートが内側駒に接すると「行き止まり」を感じます。「行き止まり」を感じたらそれで「圧入完了」なのです。

心配なら、継手駒(プレートを圧入している駒)の外側プレート間の厚さと隣の玉の外側プレート間の厚さをノギスで測って比べてみて、同じになるまで圧入すればよいでしょう。

次のような作業となります。

・軽くボルトを締めていって抵抗を感じたらストップ。
・継手駒の外側プレート間の厚さと隣のコマの外側プレート間の厚さをノギスで測って比べて、駒の動き具合を確かめる。
・圧入不足ならもう少し圧入する。
・再度、外側プレートの厚さを隣のプレートと比較して、駒の動きが固くないが確かめる。
・慎重に少しずつ。

ベアリング圧入やクランク引き込みと同じです。

「普通にボルトを回していって、行き止まりになったらそこで終わり。物足りないくらいが良い。やり過ぎは禁物。」

今回は「ちょっと締め過ぎたかな?」という感じで、圧入した外側プレート厚は16.6㎜、隣の駒も同じ 16.6㎜。

「締めすぎたかな?」という感覚は片方に腕が短く持ちにくいバイスプライヤーを使ったからです。
もし、27Mのメガネを使っていれば「普通に締めて行き止まりになった」と感じたことでしょう。
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f.かしめはどこまでするの?


取扱説明書では「かしめピンのフレアー部(先端の部分)が継手プレート面に接するまで」

そして動画の取扱説明では「かしめたピンに かしめピンが入ればOK、入らなければかしめ不足」

これを説明しましょう。

・b が「かしめピンのフレアー部」、dが継手プレート。
・取説では「かしめるのは、bとdがが接するまで」。
  つまり、「bとdの隙間がなくなるまで」。

・これは作業中でも確認することができます。

・もちろん、「bとdが最初に接したとき」にかしめ終了です。
  bとdが接したのに、さらにボルトをガンガン締める。
  かしめがさらに進み、bが 継手プレートdを押し付ける。
  そんな状態でも、bとdはは接しています。

・まあ、bとdがくっつけば抵抗を感じるでしょうから、
  ここでも「普通にボルトを締めていって、行き止まりを感じたとき」が基準になります。


『なんか、あやふやな基準だなぁ~。もっと、数字はないの?』

それではかしめピンの形を見てみましょう。

・aが 継手駒のピンにはまる部分です。
・bが上で説明したフレアー部、継手駒のプレートに当たります。

・ここで「かしめる働きをする」のは、中心にあるaを頂点とした円錐台(富士山)。
・継手駒のピンの凹部はaに入ったあと ボルトを締める力で円錐台に押しつけられ、
  先が拡がっていきます。 これが「かしめ」。
・継手駒のピンの先が、c(富士山のふもと)まで達すると「かしめ100%」。

・だから、「かしめ100%」なら、かしめたピンの頭(凹)にかしめピンを差し込ンだ場合
  「ガタガタせずにピッタリ」となり、かしめ不足なら「ガタガタして不安定」になる。
  これが、動画取説で説明している「かしめピンが入ればOK、入らなければ不足」の意味。
  かしめられて拡がったピンをかしめピンの円錐台に合わせて、かしめ具合をチェックしているのです。

・もちろん、「かしめ不足」と「かしめ100%」の中間に、
  「かしめ合格」・「かしめ良好」などがあります。


下の写真はこの方法で「かしめ具合」をチェックしているものです。

かしめピンとプレートの間に隙間はありますが、かしめピンは「ガタガタ不安定」ではありません。

ピン先端もラッパ型に拡がっています。

もちろん、かしめピンの先端とプレートの間に隙間があるので「かしめ100%」ではありません。

しかし、「かしめ良好」より少し点数の悪い「かしめ合格」にはなるはずです。


        
f-2.かしめ完了の数字


『ここでも、感じや感覚に頼っていますよ。数字ですよ数字をください!』


強いて数字をあげるのなら、「出ているピンの長さが 1㎜強 ・先端外径が 5.9㎜Φ弱」です。

『 1㎜ と 5.9㎜Φ 根拠は何ですか?』

上で説明したかしめピンの円錐台(富士山)の高さが 1㎜、かしめピンの内径が 5.9㎜Φ だからです。

『 a から c までの 高さ と c の外径のことですね。』


もし、かしめピンの先端bが プレートと接し、ピンが100%かしめられたら、ピンはc に達するまで変形されているはずです。

だから、100%かしめで、プレートから出ているピンは 長さ 1.0㎜、先端外径 5.9㎜Φ なのです。


『ちょっと待ってください。「1㎜ 強」,「5.9㎜Φ弱」と言いませんでした?』

そうです、数字の上では 「1㎜」・「5.9㎜Φ」でも、実際は「1㎜強」・「5.9㎜Φ弱」で「100%かしめ」なのです。

これはピンの材質がが鉛やアルミのように柔らかい金属ではないからです。

ピンが柔らかければピンが変形して c まで達することはあるでしょうが、そうでなければ c まで達することはありません。

それに、かしめ過ぎを防ぐためにも、限界値の一つ手前を基準にするのがよいでしょう。

レッドゾーンのような意味も含めているのです。

・左の写真は 上で確認したピンの状態です。

・出ているピンの長さ:二つとも 1.4㎜。
・ピン先端部外径:左 5.7㎜Φ,右 5.65㎜Φ

・「完全100%かしめの理論値」は「出ているピンの長さ/1㎜、先端外径/5.9㎜Φ」
  少々、かしめ不足のような気がします。
・ただし、DIDによる「かしめ量の目安」は 520VX2 で 5.5㎜以上です。→こちら ・ こちら
  だから、これで充分なのです。

  『そんな、数字があるなら先に教えてよ!』
  あとで知ったものですから…。


     
g.注意しなければならないのは「かしめ不足」より「かしめ不良」


かしめ不良とは かしめたピンが「ゆがんだラッパ型」だったり、亀裂がはいったりすること。

かしめたピンがゆがんでいれば、ピンにかかる力が偏りチェーン断裂の危険があるし、亀裂があれば断裂の危険はさらに高くなります。

かしめ不良の原因は「かしめピンが 継手のピンの中心に当たらなかったり、垂直に当たらなかったりすること」


かしめピンの a 部分は 継手駒ピンの内径より小さく、ピンにはまるようになっています。そして、そこから先はテーパー状の円錐台。

だから、かしめボルトを軽く回していけば、かしめピンは継手駒ピンの中心に垂直に当たるようになっているのです。

無理をしなければいいのです。自然にまかせれば適正位置になるのです。


実際の作業は次のようなものです。

・U字ホルダーの二つの丸い溝に継手駒の裏側に出ている二つのピン頭をはめ、左手でU字ホルダーを持ち、左手の親指で継手駒をホルダーに押しつける。
  ※親指で継手駒をずらしてみて、しっかりとはまっているかどうか確認。

・右手でボディを持ち、右側からU字ホルダーにセットして、B位置に合わせる。

・右手で圧入ボルトをはめて回し、かしめピンの先端/aを継手駒ピンに軽く食い込ませる。
  ※aが食い込んだかどうかは見えないので、かしめピン先端面(b部分)がまっすぐになっいるかどうかを左右から確認する。

・「おかしいな…」と思ったらやりなおす。(軽く緩めて軽く締める。)
  ※かしめピンの凹部にはオイルを塗っておいた方がよいのではないでしょうか?

・「納まるところに納まったな」と感じたら、そこが適正位置。

・あとは迷わずボルトを締めていく。


チェーンかしめは簡単だけれど、上手にやるためには場数が必要でしょう。

今回は、初めてなのでこの程度。
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2.2016.03.22.二度目の“かし丸君”


二度目の今回は前回の反省点を踏まえてやりました。

圧入とかしめの完了は「メガネで軽く締めて行って、固くなったら終了」
そこから、頑張ってもう一締めする必要はない。
かしめの基準値はDID-520VX2でピン先端=5.7㎜Φ~5.8㎜Φ、メーカーの目安値は5.5㎜Φ以上


a.27Mメガネを準備

 チェーンはNSRのときと同じ DIDの 520VX2・112リンク

 使うのはもちろん“かし丸君”

 今回は 27Mのメガネレンチを用意しました。→→→TOPの27-24

・TOPの27×24Mメガネレンチ → こちら
・TOPの19×22Mメガネレンチ → こちら
・TOPの両口メガネレンチ → こちら
・その他のメガネレンチ → こちら



b.チェーンカットは鯨印の単列カッター


チェーンカットは前回の反省から 鯨印の50単列カッターで→→→ チェーンカッター 鯨印 No.50S ・ スペアーピン鯨印 No.50単列用

このカッターを使うにはホイールとチェーンガイドを外さなければなりません。

それでもチェーンのカット部分を真上から押さえることができずカッターは斜めになります。

しかし、この状態で叩けば簡単にピンが抜けてしまいます。

クラッチデスク交換のときのようにバイクを倒してしまえば、チェーンのカット部分を真上から押さえることができるでしょう。

なお、古いチェーンと新しいチェーンを継手駒でつなぐ場合は、
・チェーンを下でカットする場合は「駒の後側のピン」を抜くこと。
・チェーンを上でカットする場合は「進行側のピン(駒の前側のピン)」を抜く。

古いチェーンと新しいチェーンをタイラップでつなぐのならどちら側のピンを抜いてもかまいません。


※ RK-520SMO

 付いていたチェーンは RKの520SMO

 ジョイントはまだ入手できるようです。→→→こちら

 海外でしたネ。


     
c.プレートの圧入/締めて行って固くなったら完了

 チェーンをつなぐのは上側でやったほうが楽です。

 27Mメガネがあると作業は楽々。

 チョット力を入れて締めていって、固くなったら終了


・これが取説の言う「プレートホルダーの溝にピンの先端が触れる」状態。

・ここでプレートの圧入完了。

・これで、両隣の駒の外側プレート厚さ:16.7~16.6㎜ (※測定誤差を考慮)
・継手駒の外側プレートの厚さ:16.7㎜
・数字的にもOK。駒同士の動きもOK。

・ついでに「かしめる前に出ているピンの長さ」を測定。
  かしめる前のピン長さ=1.4㎜。


    
d.かしめ/締めて行って固くなったら終了

・これが取説の言う「かしめピンの先端(フレアー部)が継手プレートに接した」とき。

・かしめピンの先端と継手プレートの間にわずかな隙間がありますから、「その一歩手前」。

メガネで「少し力を入れて」締めていって、「突然固くなった」ときがこの状態。

 ここからさらに締め込むためには、相当頑張らなければなりません。

・さてさて、かしめ具合は、


・かしめる前のピン:先端外径/5.2㎜Φ、プレートから出ている長さ/1.4㎜。
・かしめたピン:先端外径/5.75㎜Φ、外側プレートから出ている長さ/1.4㎜。
・かし丸君①では、
  かしめたピン:先端外径/5.7㎜Φ~5.65㎜Φ、プレートから出ている長さ/1.4㎜。
・完全かしめの理論値は、先端外径/5.9㎜弱、プレートから出ている長さ/1.0㎜強。
・ DIDによる「しめ量の目安」は 520VX2 で 5.5㎜以上→こちら ・ こちら

・不思議なのは、「ピンをかしめれば(頭を潰せば)出ているピン長さが短くなる」はずなのに、
  かしめる前と後で出ているピン長さが変わらないこと。
  ピン頭の外側だけが潰されるからでしょうか?
  とにかく、出ているピン長さは変わらないようなので、
  ピン長さはかしめ量の基準にはなりません。

・以上のことから、実際の完全かしめ状態は「先端外径5.75㎜Φ~5.8㎜Φ」
・メガネで締めていって、固くなったところで5.7㎜Φ、
  そこから、もう一踏ん張りで5.75~5.8㎜Φでしょう。
  しかし、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で「固くなったら完了で5.7㎜Φ」が良いでしょう。
  DIDの目安量が5.5㎜Φ以上であることをお忘れなく。


とにかく、「締めていって、固くなったら完了」です。

かし丸君二度目の感想は「よくできたツールです」。

        
2-2.三度目の“かし丸君”


2019.03.にFJに中古チェーンを取り付けました。
いろいろ思い悩むことはありません「普通に締めていって、固くなったら完了」です。

 チェーンカバーを外すのが面倒なのでチェーン下で作業。
 RMXのようにリフトスタンドが使えないのでメインスタンドで。

 地面との距離が短いのでレンチを両手で使うことができず少々苦労する。
 また、チェーンを取り付けたままの作業なので、
 チェーン駒の固定がずれたり、プレートがホルダーから外れたりして手こずる。

 しかし、駒とプレートを固定してしまえば、圧入やカシメは簡単。

 プレート圧入では「固くなったら終了」で外側プレート間=22.0㎜ で他のリンクと同じ。

 カシメでは「突然固くなったら終了」でカシメ外径=5.8㎜Φ で 「5.7㎜Φ以上」をクリアー。

 かし丸くんは良くできたツールです。
 

  ★★33    
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3.スプロケット取り付けボルトの皿バネワッシャとUナット


a.Uナットと皿ボルト

・写真はスプロケットを止める皿ボルトとワッシャとナットです。
・ナットは M8・並目(ピッチ1.25㎜)・対辺長12㎜・フランジ(ギザギサなし)巾17㎜の
  スティブルナット(緩み止めのUナット)です。
  近くのホームセンターになかったので、モノタロウで捜しました。
  4個入りで299円。→→→こちら
  このナットはエキゾーストパイプの取り付けにも使われています。

ステンレス製もありますが、
  レンチがナットの角を“なめた”場合は「ナットを割る」必要があるので、
  ステンレス製ではなく「割りやすい」鉄製の方がよいでしょう。

・シリンダーヘッド取り付けナットもM8・並目・ギザギザなしフランジですが、
  緩み止めのUナットではなくて、普通のナットです。

・皿ボルト 「 六角皿ボルトM8×20 」 →→→こちら ・ こちら
・汎用品もありますが →→→ こちら や こちら や こちら
  純正部品では、ボルトもナットも100円程度です。
  汎用品にするか純正にするかは「他の商品と合わせて送料無料になるかどうか」でしょう。
 



b.皿バネ座金

スプロケットを留めるときに使うワッシャはただのワッシャではありません。

皿バネ座金という皿のように湾曲したワッシャです。

スプリングワッシャと同じように緩み止めの働きをします。

・純正部品番号は 09164-08011-000、一個108円(税込)です。

・このワッシャの汎用品をモノタロウで捜しました。
  モノタロウブランドの大阪魂・15個入りで299円(税抜)→→→こちら
  一個では21.5円。純正の1/5の値段です。
   こちらを使いましょう。

ただし、サイズが少し違います。

・純正(写真右)は、外径:16.0㎜Φ,内径:8.4㎜Φ,厚さ:1.0㎜,高さ:1.3㎜。
・大阪魂(写真左)は、外径:16.0㎜Φ,内径:8.4㎜Φ,厚さ:0.9㎜,高さ:1.6㎜。

・大阪魂は高さ(皿の底~皿の外端)が少し大きくなっています。

・皿バネ座金には規格があります。→→→こちら

・M8のJIS規格では
  JIS1種・軽荷重・M8→外径:17.0㎜Φ,内径:8.4㎜Φ,厚さ:1.4㎜,高さ:1.85㎜
  JIS2種・軽荷重・M8→外径:13.5㎜Φ,内径:8.4㎜Φ,厚さ:0.9㎜,高さ:1.30㎜
・純正も大阪魂も規格外ということになります。

・純正に近いのは平和発条のMDSⅢ・8個入り・299円(税抜)→→→こちら
   外径:16.0㎜Φ,内径:8.2㎜Φ,厚さ:0.9㎜,高さ:1.25㎜。

・ただし、高さが少し大きくなってもそれだけ緩み止め効果が高くなるだけです。
  純正の代わりに大阪魂を使っても問題はないでしょう。


なお、皿バネ座金を入れる方向は、止める対象物の方が凹側になります。
ボルトの頭 ( 傘 ) → 皿バネ座金 → 対象物 → ナット なら、ボルトを皿バネ座金の凸側から入れる、
ボルトの頭 → 対象物 →皿バネ座金 → ナット なら、ナット側が皿バネ座金の凸側になる。
スプロケットの場合、ボルト頭 → スプロケット → 皿バネ座金 → ナット ですから、ナット側は皿バネ座金の凸側になります。

理由は「 なるほど!」 というものはありません。
皿バネ座金の外径がボルト頭やナットより大きい場合、凸側にボルト頭やナットがないと皿バネ座金を押しつぶせないし、
「 対象物に広い方が当たるようにするのが一般的 」 だからでしょう。→→→こちら  こちら

ナット締め付けトルクは300㎏・㎝~400㎏・㎝でそんなに大きい値ではありません。

スプロケットは鉄でもナットが当たるハブはアルミです。
ナットは緩み止めのUナット、さらに皿バネ座金で緩み止め。
きつく・きつく締める必要はないのです。
ホイールを立てて、表側をヘキサレンチで留めて右手で持ち、
左手で通常の「12×14」のメガネレンチを握って、手前に「グッ~」と力を入れて回る程度で「400㎏・㎝」を超えています。
※プラグとシリンダーヘッドが250~300㎏・㎝、シリンダーが360~400㎏・㎝。

なお、ナットは常に新しいものにしましょう。
取り外すときには、ストレートのメガネレンチか通常のメガネレンチを逆にしてナットを回しますが、
ナットの角が削れているとレンチが真っ直ぐに入らずナットの角をさらに舐めてしまいます。
こうなるとタガネでナットを割らなければなりません。

M8 ・ 並目(ピッチ1.25㎜) ・ フランジ の Uナット は 常備しておきましょう。

またネジロックは不要です。


つづく




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