時計・自動巻き 資料



 2011.03.06. XENLON・EPW- 124 の「回転ドラムホルダー」の交換





XENLONは一昔前に大流行した「 Made in CHINA 」のワインディングマシーンです。
「強力巻き上げタイプ」で時計は常に「フル巻き上げ状態」になります。
手巻き機能の付いていない現代版SEIKO5(7S26・36)の保管用に重宝します。
弱点は、ドラムホルダー割れ,スイッチ故障,モーター故障です。
ただし、大柄なので部品交換は楽です。今回は割れたドラムホルダーを交換します。


ドラムホルダー割れの症状と取り外し
ドラムホルダーの構造
ドラムホルダーの取り付け
角形ニ連の仕様・利点と角形四連



1.ドラムホルダーの交換


ワィンディングマシーンの修理です。
今回は、XENLON(シェンロン)です。
部品取りの6台から生きている部品を移植して2台を完成しました。

・左の角形はスイッチ回路とモーターが生きています。
  しかし、回転ドラムとドラムホルダー・軸受けが壊れています。

・右の丸形は回転ドラムとドラムホルダー・軸受けが正常です。
  しかし、スイッチ回路とモーターが死んでいます。

・形は違いますが内部の部品・構造は同じです。
  今回の作業は右の丸形から回転ドラム・ドラムホルダーを取り外し、
  左の角形に移植することです。

 


     
a.ドラムホルダー割れの症状と取り外し

・角形のドアを開くと白い粉が出ています。
  これは、回転ドラムがドラムホルダーと擦り合って出ます。
  この白い粉が出たらドラム交換です。

・裏蓋を開けてみると、白い粉が積もっています。
・ベルト、プーリー、モーター板を取り外します。


・これがドラムホルダーです。やはり、割れています。
・こちらは、丸形のドラムホルダー。白い粉などどこにもありません。
・この二つの部品を角形に移植します。


・ドラムホルダーはこのLEDライト盤といっしょにフレームに留められています。
  このワッカのネジを外してドラムホルダーを外します。
・写真左側が角形から取り外したドラムホルダー。右が丸形から取り外した正常なもの。

    

b.ドラムホルダーの構造

・Aの回転ドラムに時計ホルダーをはめます。
・Aの回転ドラムはBのドラムホルダー(ドラム外箱)にビス留めされます。
・B(ドラムホルダー)はEの二カ所で本体に固定されます。
・Dのプーリーにベルトでモーターの回転が伝えられます。
  そして、Aの回転ドラムが回されて、時計が回転するのです。

  XENLONの構造上の弱点は、
 「Cの軸受けが本体に直接固定されていない」ことです。
  
・Cの軸受けは中が金属のベアリングハウスで外側がプラスチックです。
  このプラスチックの部分が弱いのです。
  プラスチック部分の品質が悪いと、強い回転力に耐えられず割れが生じます。
  軸受けのプラスチック部分が割れると回転が振られます。
  すると、Aの回転ドラムがBのドラムホルダーに当たってこすれ合います。
  白い粉はAとBがこすれ合って生じるものなのです。


・A(回転ドラム)とB(ドラムホルダー)がこすれ合っている内にB(ドラムホルダー)が割れます。
  軸受けの揺れが直接Bに伝わるからでしょう。
  Aが割れることはありません。

・最後には、Aの回転ドラムがガタガタになって回転しなくなります。
  XENLON の程度は回転ドラムのガタつきで判断できます。
  白い粉が出ていたら必ず回転ドラムにガタつきがあります。

・角形から取り外したドラムホルダーはこれだけ割れていました。

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c.ドラムホルダーの取り付け

 茶色いワッカを潜らせて回転ドラムホルダーをセットしました。
  回転ドラムの上に茶色いワッカが乗ります。
  そして、ワッカの上から4本の木ねじで本体に取り付けられます。


・次に、モーターのついた板を取り付けます。

・①~④は回転ドラムホルダーにネジ留めします。
・⑤~⑧は本体に取り付けられた支柱にネジ留めします。

・ドラムホルダーは茶色いワッカの上から四カ所ネジ留め。
  そして、モーター板に二カ所ネジ留め。
  軸受け部分が何ら固定されていないことがお分かりでしょうか。
  どこか不安定でしょう?

・ドラムホルダーを四カ所ネジ留めすれば軸受け部分がより固定されるでしょう。
  そうすれば軸受けのプラスチック部分が割れることも少なくなるでしょう。


・ドラムホルダーには四カ所のネジ留め部分があります。
  ①と②でネジ留めするのではなく、
  さらに⑨と⑩の二カ所のネジ留めを付け足せばドラムホルダーの取り付け強度が増えます。

・また、ドラムホルダーのネジ留め穴も弱くて割れてしまう時があります。
  そんな場合は他の二カ所を使うことができます。


・ドラムホルダーの軸受けシャフトにプーリーを取り付けます。
  表側から長いネジで留めます。
・ドラムホルダーを表側から見たものです。中心にある「+ネジ」で留めます。
・黒い円盤に四カ所のネジ穴があります。ここに回転ドラムがネジ留めされます。


・小さな皿ネジ四本で回転ドラムを取り付けます。
・回転ドラムを取り付けました。


・時計ホルダーはこのようにはまります。ベルトを着けて裏蓋を閉めればでき上がり。
・ドラムホルダー交換は馴れれば30分程度でできます。XENLONの“売り”は図体がでかいので部品の移植が簡単なこと。

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2.角形ニ連の利点と角形四連


今回はもう一台移植手術をしました。

・この二台が稼働するようになまりした。
・角形XENLONはお互いをコード接続できます。一つのアダプターから入力した電気を他のXENLONに流すことができます。
・一つのアダプターで三台をつなげて動かすことができます。
・さらに、角形は「積み上げる」ことができます。二連巻きとしては大柄なXENLONですから省スペースになります


・XENLONには二連巻きのほかに四連巻きもあります。
  構造は同じですが、四連は四個の回転ドラムを一個のモーターで回します。
  その分、モーターに負担がかかり、モーターがダメになります。

・しかし、この四連きはドラム部分・軸受け部分が壊れることはありません。
  丸形二連もそうです。
  最新型が角形二連ですので、ドラム部分の製造が荒くなったのでしょう。

・XENLONは回転力が強いので時計自身にはあまり良くないでしょう。
  現在のSEIKO5系(7S26・36・25など)は頑丈なのでビクともしませんが、
  緻密で高性能・高価な時計はXENLONにかけるのはやめた方がよいでしょう。

・今回新たに四個分のワィンディングマシーンを確保しました。
  もちろん、このあと、自動巻きを四個手に入れました。
  時計の増殖はいつになったら止まるのでしょうか?


※XENLON角型二連の仕様

・型番 : XENLON EPW 124 ( Made in CHINA )
・電源 : 入力 / AC100V、出力 / DC12V・1000mA
・サイズ : タテ×横×奥行き×重さ==300㎜×330㎜×240㎜×5.34㎏
・消費電力 : 10W
・動作 : 一定時間 ( 約3~15分 ) 回転し、一定時間 ( 30~60分 ) 停止。これを繰り返す。 約19回転 / 分 ( 実測 )
・モード : ① B ( 反時計回り )、 ② F ( 時計回り )、 ③ F / B ( 時計回りと反時計回り繰り返し )、④ R ( 直前のプログラム )
・連結 : 角型二連は 接続ケーブルを使って三台まで連結し、一つのACアダプターで運転可能。


つづく。




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